16.例会練習の実施形態


16.例会練習の実施形態

 吃音改善研究会の例会では、練習の参加人数と難易度によって練習の実施形
態を分けており、共通練習、個別練習、合同練習、特別練習の4つの実施形態
で練習メニューやプログラムを考えています。

 共通練習というのは、難易度の低い基礎的な練習と、参加メンバーが共通し
て困っている場面の練習です。メンバー全員で同じ練習を、同じ進め方で効率
的に行う練習方法です。同じ朗読材料を全員で輪読するとか、短い挨拶と自己
紹介を繰返すとか、電話機を使って互いに受発信の練習をするといった内容で
す。この共通練習は、練習の手順が標準化され、短い時間で繰り返し練習でき
るので、練習効率は非常に高くなります。

 個別練習は、メンバー各自が同じ持ち時間を使って、自分がやりたい練習を
自由に行う練習です。吃音の条件刺激は個人の生活体験で形成されるものであ
り、苦手なものが個人によって違うため、共通練習だけでは各自の苦手場面全
てをカバーできません。また、各自の吃音症状や改善レベルが違うため、各個
人に最適な練習を行なうためにも個別練習が必要です。個別練習では、自分が
苦手な練習や、緊急性の高い練習を、自分の改善レベルに合った形で行えるた
め、改善効果の高い練習ができます。

 合同練習は、共通練習と個別練習の両方で特別バージョンとして行う練習形
態で、何人かが一緒になって練習します。共通練習や個別練習の中で、何人か
で同じ練習を同時に行う事により、練習の難易度を下げながら時間効率を上げ
た練習ができます。例えば、個別練習で、朗読が苦手な人が3人で各自の朗読
資料を同時に朗読すれば、難易度も大きく下がりますし、持ち時間も3倍に増
えます。これにより、練習効率が飛躍的に高くなります。

 特別練習は、全員で行うロールプレイング練習です。日常生活の難易度の高
い場面を、参加メンバー全員で役割を分担して再現する練習です。例えば、会
社の朝礼や会議、採用面接といった、練習を行います。この特別練習は、実際
の場面に近い設定で行うため、非常に難易度の高い練習となります。そのため、
メンバーの改善状況に合わせて、簡単な役から難しい役まで段階的に用意して、
個人のレベルにあった役割で練習できるような注意が必要です。

 以上のように、共通練習、個別練習、合同練習、特別練習という4つの実施
形態毎に練習メニューを用意し、例会のプログラムを考えています。