18.例会運営のポイント


18.例会運営のポイント

 例会での改善練習は、吃音改善に効果のある練習でなければなりません。そ
のため、例会では参加メンバーにとって苦手な練習を、当人に最適な難易度レ
ベルで行う必要があります。発声練習や朗読だけといった画一的な練習だけで
は効果がありません。メンバー毎の苦手場面や症状レベルに合わせた練習がで
きるような、柔軟な練習プログラムとカリキュラムが非常に重要となります。

 次に重要なのが、例会での集中的な練習です。具体的には、例会での1人当
りの正味の練習時間です。15人で4時間の例会を行っても、休憩や連絡、交
代時のアイドルタイム等を除くと、正味1人当たり10分位しかありません。
グループに分かれて行うか、時間を長くするか、参加人数を少なくしないと、
1人当りの絶対時間が足りません。1人1人が十分な練習ができるように、参
加人数と例会時間を設定し、無駄な時間を無くし、効率アップの工夫を積極的
に行わないとなりません。吃音改善研究会では1人当りの正味練習時間が少な
くとも30分、標準的には40分以上確保できるように工夫しています。

 次に開催頻度が重要です。例会で十分な練習時間を確保しても、例会が月に
1回なら効果は恐らくゼロになります。1回の例会で改善効果を出し、その効
果が残っている間に次の例会を行い、効果が累積する練習サイクルを確立しな
ければなりません。できれば毎週、少なくとも月2回が最低ラインとなります。
「自発的回復」により改善効果がゼロにならないよう、注意が必要です。

 そして、最後が一定期間の継続です。例会に参加しても、直ぐには改善効果
はありません。改善効果が出るのは、数ヶ月の助走期間の後です。改善効果が
出ても練習を止めれば効果は消えてしまいます。「過剰学習」の原理で改善効果
を定着させるために、例会の練習で吃らないようになった後でも、暫く練習を
継続しなければなりません。最低半年は例会に参加しないと、確実な改善効果
を実感できませんし、例会や改善方法の正しい評価ができません。半年参加す
れば改善効果が確認でき、例会参加への動機付けとなります。先ず、最低半年
の継続参加が必要です。そのため、参加申込は半年単位としています。

 以上のように、例会の運営には重要なポイントがあります。このポイントを
外して例会を行っても、思ったような改善効果はありません。むしろ、無駄な
努力を続ける結果となってしまいます。吃音の改善を目的とした例会であれば、
例会での練習内容、1人当りの十分な時間、適度な開催頻度、一定期間の継続
の4つの条件を満たさなければ、確実な改善効果は期待できません。