21.例会練習の基本姿勢


21.例会練習の基本姿勢

 吃音改善研究会の例会に参加しても、参加の姿勢や練習の取り組みが不適切
だと、思うような改善効果が上りません。例会での練習効果を最大限に上げる
には、以下のような姿勢や態度で練習に取り組む必要があります。
 
 先ず、例会で吃っても吃った事を隠さず、吃っている状態を他のメンバーに
見せて下さい。様々なテクニックで吃りを隠そうとしてはいけません。吃った
ら、自分が吃っている事を自覚し、自分が吃っている状態をそのまま受け容れ
て下さい。例会の練習は、吃音を隠したり、避ける練習ではありません。

 そして、例会では、声を出したり、自分のメッセージを伝える事を優先して
はいけません。日常生活と同様に、メッセージを伝えるために不自然で無理な
発声をすると、吃音改善の効果はありません。例会練習は声を出す練習でもな
いし、メッセージを発信したり、話をまとめる練習でもありません。吃音の状
態を再現し、結果として吃音改善するのが例会の目的です。

 そして、吃った時は、自分自身の吃音反応を客観的に観察して下さい。吃音
時には、吃音の条件反応の結果として様々な身体反応が起こっています。息を
吸い込んだ状態で呼吸が止まったり、脈拍が速くなったり、汗をかいたり、視
線が固定されたりします。これ等の反応は意思で制御できない不随意的な身体
反応です。この身体反応のために正常な発声ができなくなる訳です。この身体
反応を客観的に感じると、フィードバック効果により身体反応は弱くなります。
反応が弱くなった事が実感できると、それが報酬となり、条件反応のオペラン
ト条件付けの原理が働き、不随意的な身体反応を消すメカニズムが働きます。
声を出さなくても、フィードバックする事が練習になります。

 特に大事なのは、酷く吃らないようにする事です。例会の中では苦手な場面
を再現して、軽く吃りながら話す練習をしますが、酷く吃ってはいけません。
酷く吃りそうな状況で話す場合は、@すぐ話さず数秒の間をとる、Aゆっくり
話す、という注意をして下さい。この2点に注意するだけで、かなり落ち着い
て話せます。それでも途中で酷く吃ったら、吃った状態のままで話すのを止め、
身体反応をフィードバックして下さい。そして、少し落ち着いたら、また静か
に話し始めてみて下さい。それでも酷く吃る場合は、一旦リセットして、抑制
法という吃り難い方法でゆっくり話して下さい。酷く吃ったら、無理に話すの
を止め、身体反応をフィードバックするか、抑制法で話すか、もっと難易度の
低い場面の練習に切り替えるか、のどちらかにして下さい。