24.練習時の効果と悪影響


24.練習時の効果と悪影響

 例会での練習は、軽く吃る程度の適度な難易度で話す事により改善効果が出
ます。逆に、酷く吃る状態で話すと、吃音反応が強化され、吃音症状もより重
くなります。例会練習で効果を出すためと、悪い影響を出さないために、練習
における吃音状態を3つに分けて、改善効果と悪影響について説明します。
 
1.酷く吃る状態では
 酷く吃る状態では、無理に話してはいけません。話すのを一旦停止して、以
下のどれかの方法で練習して下さい。酷く吃って話すと、症状は悪化します。
@話すのを止めて、吃音の身体反応をフィードバックする。
意思で制御できない付随的な身体反応が抑えられます。
A吃る前の箇所まで戻り、そこから抑制法で吃らずに話す。
吃音の条件刺激に直面しながら吃らずに話す事で、馴化の効果が働きます。
B練習を止め、難易度の低い別の練習に切り替えて、最初からやり直す。
 練習の設定や内容を変え、改善効果の出る適度な難易度で練習します。

2.軽く吃る状態では
 軽く吃る程度なら、吃ったままで練習を続けて下さい。弱い条件刺激の下で
練習すると「馴化」の法則が働き、吃音症状が改善されます。また、ハードル
が低いため、改善効果が直ぐに出ます。特に、吃るかどうかの閾値スレスレの
状態での練習は改善効果が高く、少しの練習で吃音症状に変化が出ます。その
ため、改善効果が早く大きく出ます。

3.吃らない状態では
 練習でまったく吃らなくなっても、その練習をしばらく続けて下さい。吃音
症状が消えても、その効果は一時的なもので、練習を止めれば元に戻ってしま
います。吃らない状態での練習を繰り返し、新しい条件反応を形成します。こ
れにより、改善効果が定着します。まったく吃らなくなり、改善効果が定着し
たら、その練習を止め、より難易度の高い練習へ進んで下さい。

 結論として、例会の練習で改善効果が上がるのは、@吃音時の身体反応をフ
ィードバックする、A軽く吃るか、吃るかどうかスレスレの状態で話す、B抑
制法で吃らずに話す、C不安や恐怖はあるが、吃らずに話す、の4つの状態で
の練習です。当然ながら、この4つの状態は、吃音の条件刺激のある苦手な場
面でなければなりません。吃音の条件刺激を感じながら、吃音の状態に合わせ
て最適な練習を行い、改善効果を最大限に出すように練習して下さい。